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ソウル&ファンク大辞典

ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。

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Clarence Reid / RUNNING WATER

エロだけでは生きていけない男の哀愁

クラレンス・リード Running Water,
Clarence Reid, 1973
ソウルの世界では独立国のような雰囲気漂うマイアミ。どのアーティストもメンフィスのような土の香りはしないし、デトロイトのようなパワフルなヴォーカルを聴かせることもない。マイアミソウルの多くはダンサブルなのにどこかのんびりしていて、一般的なブラックミュージックとは一線を画する哀愁を感じるのだ。

表舞台のクラレンス・リードは、下ネタ連発のエロ男爵Blowfly(ブロウフライ)としての方が有名かもしれない。このキャラクターが当たったため、途中からクラレンス・リードとしてのリリースは途絶えてしまったが、彼は表舞台だけではなく、裏方としても活躍したマイアミソウルの中心にいたアーティスト。そして、彼はこんなに哀愁溢れる地味な作品も残している(この妙な地味さもマイアミソウルの味のひとつ)。

オープニングの“Living Together Is Keeping Us Apart”からいきなりマイアミソウルの世界観が全開だ。結構ファンキーな曲だが、イントロのいかにもマイアミ風のキーボードだけで泣けてくる。次のミドルも心に染みるいい曲だが何故か曲名は“New York City”。A4 “Real Woman”とB1 “Ruby”は、ソウルファンからはシカトされそうなポップな曲だが、ここにもやはり仕込まれたマイアミ独特の甘塩っぱいスパイスが涙腺を攻撃する。この作品の中では珍しくブルージーなラストの“Like Running Water”にアーティストとしての真摯さを感じる。

ブロウフライとしては決して見せることのない、ピエロが一瞬の隙に見せてしまった素顔のような哀愁ある作品。

Producer: Steve Alaimo, Willie Clarke
1973年



Ruby - Clarence Reid
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