ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
アルバム・タイトル“Franticdiagnosis”を強引に日本語に訳せば「トチ狂った(ジャズ)分析」とでもなるだろうか。基本となるサウンドは意外にもオーソドックスで1972年にしてはやや古めの洒落たジャズがベースになっているが、ジョージ・フリーマンのこなし方がトチ狂っている。このアルバムが出た時点で彼は40代中盤を迎えた大ベテランだったが、まるで若者のようにがっついた感じを前面に出してギターを弾いている。
ジョージ・フリーマンの狂気をなんだか後ろでモヤモヤとアープ・シンセで後押ししているのはチャールズ・アーランド。オルガンのシーザー・フレイジャーもフリーマンに負けないぐらい弾きまくっている。
それでもアルバム全体が見事にまとまっているのは、大ベテランであり、地元シカゴから飛び出ることもなく、家庭を愛したジョージ・フリーマンだからこそか。たとえ「クロスロード」で悪魔に出くわしても決して魂を売ることはなく、家族が待つお家にキッチリ帰る彼の狂気は非常に心地よく、そして恐ろしいのだ。
Producer: Sonny Hopson
1972年