ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
The Howlin' Wolf Album,この作品は、Muddy Waters(マディ・ウォーターズ)“Electric Mud”の成功で味をしめたChess Records(チェス)のMarshall Chess(マーシャル・チェス)が、まったく同じミュージシャンを使ってHowlin’ Wolf(ハウリン・ウルフ)で再現したレコードだ。よって王道ブルースとしての魅力は少ないかもしれないが、邪道の世界に住む音楽をこじらせた好事家にとっては、マディ・ウォーターズ版と同じく、最高に脳が痺れるサイケデリック・ブルース・ファンクなのだ。
正直、ノイズまじりのハウリン・ウルフのダミ声にこのエレクトリック・サウンドはピッタリ。“Electric Mud”に比べて、よりクレージーでロック感も強い。この2作はマーシャル・チェスが若気の至りで作ってしまった作品だと思うが、よくこの企画を思いつきリリースに踏み切ってくれた。今も昔も「魂の音楽」のイメージが強いブルースだが、アフリカ系ではないマーシャル・チェスだからこそ、平気で悪魔と取引しビジネスに変えてしまったのだろう。
いくらハウリン・ウルフ本人が大嫌いといっても、音楽探究心の強いリスナーの心は残酷。こんなファンキーなブルースは滅多にないので、思いっきり楽しみましょう!
Producer: Marshall Chess, Charles Stepney, Gene Barge
1969年