ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
このコンビ作のいいところは、サルサをアメリカ音楽や文化とうまくミックスしたことだろう。フュージョンやディスコがスパイスとして使われていたり、ニューヨークの雑踏が効果音で使われていたりと、アメリカ在住の音楽家によるラテンミュージックであることを堂々と宣言している。
ヴォーカルだけでなく、曲のほとんどもルーベン・ブラデス自身が書いており、プロデュースのウィリー・コロンの力も得て、全曲全てがマスターピースに仕上がった。永遠にループさせても心地よく聞いていられる。
夜のニューヨークにラテンを根付かせたのが、Salsoul Records(サルソウル)だとしたら、全米にニューヨークがラテンのメッカのひとつであることを知らしめたのが、ファニアであり、この『シエンブラ』だろう。サルソウルもファニアもラテン系とはいえさまざまな音楽ソースがミックスされているが、時代的にディスコの爆発力が一気に米国で普及する原動力になったのかもしれない。
Producer: Willie Colon
1978年