ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
このアルバムを代表する曲は、何といっても有名なA1 “(Don’t Worry) If There’s a Hell Below We’re All Going to Go”とB1 “Move On Up”だろう。両曲とも長尺のアルバム・ヴァージョンの方が、シングルよりも数段いい。アフリカ音楽を例に出すまでもなく陶酔へと導く優れたファンクは、長ければ長いほどいい。
その他の曲は同時代のインプレッションズに近いサウンドだが、円熟期に差し掛かりつつあるカーティス・メイフィールドでしか出し得ない味のあるA3 “The Making of You”や、ソウル叙述詩のようなA4 “We the People Who Are Darker Than Blue”も素晴らしい。
ファンクの神が憑依したようなジェームス・ブラウンやフェラ・クティとは違い、カーティス・メイフィールドは都会の住人らしく知性や技術をファンクに融合させて表現したパイオニア的存在。彼がファンクの定義をより幅広く、より奥深くした。そしてそのファンクの歴史を語る上で避けては通れないのがこのアルバム『カーティス』だろう。
Producer: Curtis Mayfield
1970年