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ソウル&ファンク大辞典

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Marvin Gaye / I WANT YOU

聖と俗を羽衣のような滑らかさでつなぐ音楽

マーヴィンゲイ Marvin Gay,
I Want You, 1976
米国音楽史に残る名作“What’s Goin On”でアーティストとして、さらなる高みに辿り着いたマーヴィン・ゲイ。ある意味、音楽家として頂点を極めた彼が、このアルバムで再び目指したのは世俗音楽に戻ることだった。しかし、一度頂点を極めたものが作る音楽は、一般大衆のものとは明らかに違う。アルバム“I Want You”のマーヴィンは、天使の羽衣のように滑らかで、世俗的なポップスのフォーマットを取りながらも、福音のような美しさに溢れている。

Ernie Barnes(アーニー・バーンズ)のカバーイラストが、作品の内容をよく表している。蒸し暑そうな密室のようなところに黒人ばかりが集まりダンスに興じている。彼らは普段、厳しい制約の中で生きているが、この時間だけは自分のために汗をかき、自己を解放し、無になれる。この空間でかける音楽として、性を感じさせつつも美しいポップスとして仕上げられたマーヴィン・ゲイの“I Want You”程、ふさわしい音楽はない。「聖」と「性」は表裏一体のものだからだ。アンダーソン・パーク“Come Down”のMVでもこの世界観が表現されていた。

70年代前半から中盤にかけては、スティーヴィー・ワンダーとマーヴィン・ゲイのふたりが、名実ともにソウルの王様として君臨した。そのふたりが、アメリカ建国200周年にあたる1976年に、神がかった時代を卒業して、ブラックミュージックの集大成ともいえる最高級の世俗音楽を発表していることは興味深い。

Producer: Leon Ware
1976年





I Want You - Marvin Gaye
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