ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
冒頭の展開がこのアルバムのすべてを物語っている。おそらくウォーカー自らが弾く渋いブルース・ピアノの曲から味わい深く入るのだが、いきなりStax Records(スタックス)風のホーンセクションが入った大胆なアレンジの “Everyday I Have the Blues”へとつながる。A4 “Long Lost Lover”もホーンやオルガンがきまったファンクチューン。A6 “Vacation”やB1 “Shake It Baby”は比較的オーソドックスな曲だが、リズム隊が全面に出ており、ガンガンに踊れるブルースだ。
一番のオススメはB2の“Poontang”。ブルースとファンクのブレンド具合が絶妙で、初期Bar-Kays(バーケイズ)のように始まったかと思えば、曲の途中で突然ブルースになり、またファンキーに戻るといった具合で、とても楽しい曲。
このアルバムの3年後に“Soul Makossa”でブレイクするManu Dibango(マヌ・ディバンゴ)もサックス・オルガン・ピアノで参加している。このように環境を変えると新たな才能に出会いやすくなり、ベテランが再覚醒するのだ。
1969年