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ソウル&ファンク大辞典

ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。

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Tom Tom Club / TOM TOM CLUB

ブラックミュージックと相思相愛のかわいいファンキー白人ユニット

トムトムクラブ Tom Tom Club,
Tom Tom Club,
1981
ニューヨークのポストパンクシーンから登場したTaking Heads(トーキング・ヘッズ)のベースTina Weymouth(ティナ・ウェイマス)とドラムのChris Frantz(クリス・フランツ)によるユニット、トム・トム・クラブ。トーキング・ヘッズのリズム隊であると同時に、ふたりは夫婦でもある。

トーキング・ヘッズが1980年の“Remain In Light”でどっぷりとアフリカ音楽に傾倒していたように、当時メンバーの音楽的関心は完全にブラック・ミュージックに偏っていた。この1981年のデビュー作でも、レゲエやダブ、ヒップホップの影響を強く感じる(歌詞の中にも、カーティス・ブロウ、ジェームス・ブラウン、ジョージ・クリントン、ブーツィー・コリンズ、スモーキー・ロビンソン、ボブ・マーリー、スライ&ロビー等、スーパースターの名前がズラリとたくさん登場する。多分ボハノンも?)。

トム・トム・クラブが影響を受けたヒップホップ界からは、すぐに反応があった。Grandmaster Flash & the Furious Five(グランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイヴ)が、“Genius of Love(邦題:悪魔のラヴソング)”をそのままパクったのだ。これはサンプリングというよりも、ほぼ原曲そのままをまるごと使って、ヒップホップ・バージョンとして作り替えたもので、当時としてはよくあることでもあった。著作権にもまだそれほどうるさくはなく、その行為自体がヒップホップ的でもあった。この曲はマライア・キャリーも1995年に「ファンタジー」で取り上げているので、今では大ヒットしたマライヤのバージョンで初めてトム・トム・クラブのことを知った人も多いだろう。

ロンドンではThe Pop Group(ポップ・グループ)から連なる一群が、ニューヨークではトーキング・ヘッズやトム・トム・クラブがファンクやヒップホップを導入したことにより、その後、人種を問わず誰もがブラック・ミュージックを演奏するようになった。時代の流れを変えたアルバムのうちの一枚ともいえる。

Producer: Steve Stanley
1981年



Genius of Love - Tom Tom Club
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