Twitter Facebook

ソウル&ファンク大辞典

ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。

A | B | C | D | E | F | G | H | I | J | K | L | M | N | O | P | Q | R | S | T | UVW | XYZ
ABC | DEF | GHI | JKL | MNO | PQR | STU | VWXYZ
A | B | C | D | E | F | G | H | I | J | K | L | M | N | O | P | Q | R | S | T | UVWXYZ


Malcolm McLaren / DUCK ROCK

ヒップホップのマナーを完全にパクった音楽界のペテン師

マルコム・マクラーレン Duck Rock,
Malcolm McLaren, 1983
白人がロックにファンクの要素を取り込むことは、同じ英国人のThe Pop Group(ポップ・グループ)に先行され、ヒップホップを取り込むこともTom Tom Club(トム・トム・クラブ)に先を越されていたのに、誰よりもトレンドに敏感なマルコム・マクラーレンが、ソロ第1作目のテーマとして、なぜこの時点でヒップホップを取り入れたのか? それはきっとヒップホップの消化に関しては、どの白人アーティストよりも自信があり、ビッグ・マネーが眠っていることにも、すでに気がついていたからだろう。

Afrika Bambaataa(アフリカ・バンバータ)は、ヒップホップの構成要素として、「ラップ」「DJ」「ブレイクダンス」「グラフィティ」「知識」の5つをあげている。マルコム・マクラーレンの“Duck Rock”には、この5つがモロに取り込まれているのだ。

このアルバムを構成する上で重要な役割を演じているのが、曲間をつなぐWorld’s Famous Supreme Team(ワールズ・フェイマス・スプリーム・チーム)の疑似ラジオショーだ。彼らは1970年代後期、ヒップホップが大きなムーブメントに広がろうとしている時に、本当にラジオ番組のDJをしていた。

またグラフィティには、カリスマ・アーティスト、Dondi(ドンディ)とKeith Haring(キース・ヘリング)がアルバムワークに参加している。

真のミュージシャンとはいえないマルコムをサウンドで支えたのがプロデューサーのTrevor Horn(トレヴァー・ホーン)だ。この作品ではArt of Noise(アート・オブ・ノイズ)のメンバーと一緒にサウンド作りを一手に任されている。

マルコム・マクラーレンはアーティストではない。彼の興味はビジネスにあり、音楽やカルチャーは手段でしかない。ヴィヴィアン・ウエストウッドをファッションデザイナーとして大成させ、セックス・ピストルズの仕掛人となり、パンクをビジネスに変えた。“Buffalo Gals”のPVを見れば、今度はヒップホップで一山当てようとしているのは明らかだ。彼はピエロのように振る舞うだけで、本当の主人公はバックでブレイクダンスやグラフィティ、スクラッチを披露する黒人アーティスト達である。マルコム・マクラーレンは、こうした情報を知識として、英国の白人音楽市場に売り込んだのだ。

それでも、それがいくら金儲けのためであろうと、『ダック・ロック』は、おそらく白人がヒップホップのマナーを、メディアを通して、完全に踏襲した初めての作品であり、音楽史においても非常に重要な一枚である。

Producer: Trevor Horn
1983年





Buffalo Gals - Malcolm McLaren
関連アーティスト